新しいタイプの商標の保護制度②—ホログラム商標

本記事は前回の記事『新しいタイプの商標の保護制度①—動き商標』の続きです。前回の記事では、「新しいタイプの商標の保護制度」の5タイプのうち、タイプ①動き商標についてご紹介しました。本記事は、タイプ②「ホログラム」商標をご紹介したいと思います。

新しいタイプの商標の出願・登録状況:

(更新日2021年9月1日)

タイプ②:ホログラム商標:

ホログラム商標とは、文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標です。簡単に言うと、見る角度によって変化して見える文字や図形で構成された商標を指します。偽造防止も兼ねて銀行などのクレジットカードに使用されている例が多いです。また、新しいタイプの商標の中に、出願・登録件数が最も少なく、現時点の登録件数は僅か15件しかありません。とは言え、特許庁に出願が行われて新商標として認定される割合は、5タイプ全体で約40%である一方、ホログラム商標の登録成功率最も高く、75%の出願が認められます。

その中に、楽天銀行カードのホログラムが、比較的有名なホログラム商標の例として挙げられます。もし楽天銀行カードを持っている方、ぜひご確認してみてください。楽天銀行カードの表面に印刷されている、地球の一部と太陽の光で構成されたホログラムが、実は株式会社ジェーシービーにより商標登録されました。

権利者:株式会社ジェーシービー(商標登録5908593号)

また、ホログラフィーの他に、他の方法により変化するホログラム商標について、商標登録6241211号が例として挙げられます。それは可逆性の示温インクを用いることで、商標を付した商品の温度により、表示される内容の一部が出現・消失の変化をなすホログラム商標です。

権利者:宝ホールディングス株式会社(商標登録6241211号)

ホログラム商標の商標出願方法:

ホログラム商標を出願する時、実物を特許庁に提示するのができないため、商標の変化の前後の状態が特定されるように願書にて一又は異なる二以上の図面を添付することに加えて、その視覚効果の変化に具体的な説明が必要となります。もしホログラム商標の変化の状態が確認できない場合、商標を特定したものと認められないとして拒絶理由が通知されます。

ホログラム商標の審査基準:

原則として、ホログラム商標が登録の可否は、文字や図形等の商標とそれがホログラフィーその他の方法による視覚効果(立体的に描写される効果、光の反射により輝いて見える効果、見る角度により別の表示面が見える効果等)により変化する状態を総合して、商標全体として審査します。また、ホログラム商標は見る角度により変化するものであるため、複数の表示面から構成されるのが一般的です。それぞれの表示面に表された文字や図形から生じる外観(見た目)、称呼(呼び方)及び観念(意味合い)も審査対象とするため、その表示面の商標全体に占める割合、表示される文脈、他の表示面の標章との関連性等を総合して、商標全体として審査します。

例:原則として、類似しない場合

出典:1新しいタイプの商標に関する審査基準の概要

単語が複数の表示面に分割されて表示される等、もともとは一つの単語や熟語等であることが明らかな場合、当該単語及び熟語等の一部からなる文字商標等、一つの表示面の商標と同一又は類似の商標からなる文字商標等とは、原則として、類似しないものとする。従って、ホログラム商標「MOUN」「TAIN」を総合して「MOUNTAIN」として審査がなされると、文字商標「MOUN」と外観(見た目)、称呼(呼び方)、観念(意味合い)においていずれも異なりますので、両者は類似商標ではないと判断されます。

例:原則として、類似する場合

出典:1新しいタイプの商標に関する審査基準の概要出典:1新しいタイプの商標に関する審査基準の概要

特段の意味を有しない造語等の商標が複数の表示面にそれぞれ表示され、各表示面の文字・図形が商標全体に占める割合が低くない等、複数表示面の商標を分離して観察することが取引上不自然ではない場合、各表示面に表示された商標と同一又は類似の商標からなる文字商標や図形商標等とは、原則として類似するものとします。 従って、ホログラム商標「HGB」「カタニ」は別々に審査を行い、そうすると、それぞれが文字「HGB」と文字商標「カタニ」とを比較すると、外観(見た目)、称呼(呼び方)、観念(意味合い)においていずれも同一でありますので、両者は類似商標であると判断されます。

参考文献

1特許庁「新しいタイプの商標に関する審査基準の概要」

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/newtype/document/new_shouhyou_video/01.pdf

森寿夫,本多敬子,木村達矢,岡田充浩,小林克行『「ホログラム商標」「位置商標」の審査動向』パテント73巻2号67頁~81頁(2020年)

https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3493

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