商標の審査期間
商標を出願したら、「できるだけ早く商標権を手に入れたい!」とか、「早めにこの商標を使用したい!」と思うことも多いでしょう。
特に、流行に関するものやファストファッションなどの商品に対してはなおさらですので、正に「時は金なり」です。
ところで、商標出願から登録に至るまで、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?
商標登録までの流れ
通常、商標登録までにかかる時間は約12ヶ月となっています。
商標登録出願をした場合、出願後に、特許庁の審査を受けなければなりません。
この審査は「方式審査」と「実体審査」と呼ばれる二段階の審査で行われます。
方式審査
「方式審査」とは、出願された商標が手続的要件、形式的要件を満たしているかどうかを審査するものです。
方式審査の内容は大まかに以下の通りです。
・出願人が出願資格を持っているか
・書式の記載が正しいか
・手数料を納めたか又は不足していないか
方式審査完了後、実体審査に掛かるまでの間、その出願は審査待ちの状態となり、その期間はおよそ1年です。
近年、国内の商標登録出願数が増える一方で、海外からの商標出願も激増しています。そのため、審査までにかかる時間も増えつつある状況となっています。
実体審査
方式審査段階終了後、実体審査の段階に入ります。
「実体審査」とは、特許庁の審査官が、出願された商標が登録要件に合致するものであるかどうかを審査するものです。
実体審査の内容は大まかには以下の通りです。
・商品や役務(サービス)の区分や記載が正しいか
・商標が普通名称や慣用商標、商品等の特徴等をそのまま表しているに過ぎない商標等に該当しないか
・先行する他人の類似商標が存在しないか
上記の「方式審査」と「実体審査」両方を無事に通過した場合、登録査定を受けることができます。
登録査定後、登録料を納付することで権利化手続きが行われ、商標権が発生します。
この一連の手続きを含め、出願から商標権発生までにかかる時間は約12ヶ月となります。
早めに商標権を手に入れる方法
通常なら約12か月かかりますが、以下のいずれかの方法を使って、時間を短縮することができます。
・早期審査
・ファストトラック審査
早期審査
商標早期審査制度は、一定の要件の下、出願人からの申請を受けることで、審査を通常に比べ早く実施する制度です。
具体的には、以下の対象1~対象3のいずれかに該当すると早期審査の対象になれます。
(特許庁HPより)
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/shkouhou.html
(特許庁早期審査ガイドラインより)
具体的な条件や必要書類は、特許庁早期審査ガイドラインをご参照ください。
早期審査のメリットとデメリット
メリット
・一早く商標審査結果を知られます
通常12ヶ月かかる審査ですが、たったの2ヶ月で審査を受けることができます。更に、1ヶ月で審査が完了したケースもあります!
・補正や再度申請が可能
早期審査申請前でも申請中でも商標に対する補正や手続が可能です。特に、出願時に審査基準に載っていない商品名や役務名を使ったとしても、それを削除して早期審査を申請することが可能です。
更に、一度早期審査対象外となったとしても、その後に早期審査の要件を満たす状態になった場合は再度早期審査を申請することが可能です。
デメリット
・使用中&使用準備中の証拠が必要
出願商標を既に使用している、もしくは使用の準備を相当程度進めていることが基本条件なので、関連証拠のご用意及び提供が必要となります。
・申請手続が必要のため、費用が発生
申請方法として、決められた書類「早期審査に関する事情説明書」を提出しなければならないので、それに応じて費用が発生します。
・一部の指定商品を削除し、商標の保護できる範囲が縮小する可能性も
もし出願の時ある区分の商品・役務名に「類似商品・役務審査基準」に掲載されていないものを使用した場合や、出願の際にそのまま国際出願の商品・役務名を使用した場合、それを削除しないと早期審査の条件を満たすことができない。そうすると、当該商標が早めに登録になったものの、カバーできる範囲は希望より小さくなったり、重要な商品・役務がカバーされてなかったりなどの状況もあり得ます。
ファストトラック審査
ファストトラック審査とは、商標出願時に一定の条件を満たすと、審査までにかかる時間を縮める審査です。特に、新しいファストトラック審査制度により、審査期間を大幅に短縮でき、商標出願から約6か月で最初の審査結果通知を受け取れることができます。
(特許庁広報誌により)
その条件としては、次の(1)及び(2)の両方の要件を満たす場合に対象になります。
(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務のみを指定している商標登録出願
(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願
ファストトラック審査のメリットとデメリット
メリット
・申請手続・手数料不要
ファストトラック審査は、出願時に特定の商品・役務名を指定したら自動的に行われるものなので、申請手続も手数料も不要となります。
デメリット
・それでも6ヶ月がかかる
審査時間を短縮できるといったものの、まだ6ヶ月がかかりますので、出願商標の展開を急いでいる人に対しては特に意味がないです。
・記入にミスがあったら一発でアウト
ファストトラック審査の条件としては、出願時に「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」に掲載の商品・役務のみを指定しなければならないことなので、誤ってそれ以外の商品・役務名を願書に記入したり、そのまま国際出願に記載された商品・役務名を使用したりの場合には、その時点からファストトラック審査に外されることになります。そして、再度ファストトラック審査へと適用するチャンスはありません。
・補正ができない
ファストトラック審査のもう一つの条件としては、審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていないことです。したがって、ファストトラック審査の条件に合わせて補正を行うこともできません。
早期審査とファストトラック審査の比較
早期審査 | ファストトラック審査 | |
時間 | 2ヶ月 | 6ヶ月 |
費用 | 20000円 | 無料 |
書類の提出 | 必要 | 不要 |
補正の可否 | 可能 | 不可 |
再度の審査請求 | 可能 | 不可 |
指定商品・役務に対する要求 | 一部に必要 | 必要 |
ちなみに、早期審査とファストトラック審査を併用することもが可能です。
そのメリットは、もし早期審査の条件に合致する場合、審査にかかる時間はたった2ヶ月のみです。仮に早期審査の対象に該当できなくても、審査時間が6ヶ月までに短縮できます。
なお、併用するデメリットはありませんので、出願する際にぜひご検討をお願いします。
ご不明な点等がありましたら、ご気軽にSmarcaにご相談ください!
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情報提供源
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商標調査・出願・登録システム「すまるか」により生成されました。
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