人気アニメ『鬼滅の刃』と商標
現在世界中に大人気のアニメ『鬼滅の刃』は、オリジナルグッズだけでなくコラボ商品も盛りだくさん出てきます。しかし、空前の大人気を得た一方、パクリ商品や、ライセンスなく販売されている商品も問題となります。そこで、パクリ商品を製造、販売されないように、商標登録が必須です。『鬼滅の刃』も例外なく、ロゴやキャラクターの名前等がすでに集英社により商標登録を完了しました。
例えば、主人公である「炭治郎」(登録6397480)、「禰豆子」(登録6397481)はもちろん、登場する組織である「鬼殺隊」(登録6397475)や、さらに必殺技である「全集中」(登録6397479)等の名前も無事に商標登録に至りました。それだけではなく、登場人物が着ている羽織の柄も商標出願されました。しかし、出願された柄模様の商標は合計6件があり、そのうちの3件が既に2021年6月3日に登録されましたが、残された3件が「拒絶理由通知書」を出され、最終的に登録できませんでした。
商標登録した三つの柄:
商標登録できなかった三つの柄:
同じくアニメに登場された柄模様なのに、なぜ一部が無事に登録でき、もう一部が拒絶されましたでしょうか?
実は、「商標審査基準」に記載された商標登録の要件の中、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に関する規定が定められています。
第3条第1項第5号(極めて簡単で、かつ、ありふれた標章)
1.「極めて簡単」について 「極めて簡単」な標章とは、その構成が極めて簡単なものをいう。 2.「ありふれた」について 「ありふれた」標章とは、当該標章が一般的に使用されているものをいう。一般的に使用されていると認められるためには、必ずしも特定の商品又は役務を取り扱う分野にお いて使用されていることを要しない。 「ありふれた」に該当する例: ① 商品の品番、型番、種別、型式、規格等又は役務の種別、等級等を表した記号又は符号(以下「商品又は役務の記号又は符号」という。)として、一般的に使用される もの ② 輪郭として、一般的に使用されるもの 3.「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」について 図形について 1本の直線、波線、輪郭として一般的に用いられる△、□、○、◇、♯ 、♡ 、盾等の図形 |
上記の規定に照らし合わせば理解できるはずです。つまり、登録に至った柄は「独自に創作された識別性がある柄」であり、それに対して登録に至らない柄は「従来からある識別力がない柄」です。例えば、登場人物の冨岡義勇が着ている羽織の柄は紫に亀甲のような模様、これは作者が創意工夫を加えた柄であり、『鬼滅の刃』が創作される前に存在していなかったもの、いわゆる独創的な柄とも言えます。一方、主人公の炭治郎が着ている羽織の柄は市松模様、これは『鬼滅の刃』が創作される遥か昔にすでに織模様として既存する柄です。たとえ『鬼滅の刃』のおかげでこの柄が世間に広く知られたとしても、この市松模様が構成が簡単、かつ一般的に使用されている事実は変わりません。したがって、炭治郎の市松模様の商標出願は「商標審査基準」の「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当し、拒絶に至ることになりました。
参考資料:
特許庁「商標審査基準」
(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/09_3-1-5.pdf)
情報提供源
本ページの情報はAIとRPAを駆使したクラウドベースの
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