「地域名+商品・サービス名」からなる商標②—地理的表示(GI)

前回の記事「地域団体商標制度」に、「地域名+商品・サービス名」の組み合わせからなる文字商標は、地域団体商標制度を利用して登録するのができることをご紹介しました。実は、それ以外にも、「地理的表示(GI)」という保護制度も存在します。

地理的表示(GI):

2015年に実施された「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(地理的表示法・GI法)とは、「地域団体商標制度」と同じく地域ブランドを保護し、地域経済の活性化に設けられたものです。一方、GIの保護対象は「特定農林水産物等」であり、つまり農林水産物やその加工品、飲食料品等(酒類や医薬品等を除く。)が指定商品でなければなりません。なお、GIとして登録されると、地域共有の財産となるため、独占排他的な使用ができなくなり、GIの正当な使用に対して商標権の効力は及びません。また、GIは我が国と同等の GI 制度を有する外国との国際協定等により 、GI 相互承認が可能であります。例えば、現在日本とEUの間でEPAが発効しており、それぞれの域内で登録されたGI産品が相互に保護されています。もし国内でGI登録されたら、相手国でGI登録せずにリスト交換すれば保護してもらえることになり、輸出促進、海外展開において極めて有効であります。現在、GI 相互承認についてEUの他にも、タイやベトナムとも交渉中です。また、「GI」は地理的表示を表す用語として世界で通用していることから、海外でも GI マークが使用可能の点においても、世界中に容易に認知されることにより将来グローバル的な展開が期待できます。

地理的表示(GI)の登録要件:

GIの登録要件は、下記の4つがあります。

  • 産品が農林水産物、飲食料品等であること。
  • その産品が生産地と結び付いた品質等の特性を有していること。
  • 申請に際して、その産品が有する特性やその生産方法等を明確に定め、登録後には生産された商品がこれらを満たしているかどうか、団体が品質管理を実施すること。
  • その産品が特性を維持した状態で一定期間(概ね25年)生産された実績があること。

地理的表示と地域団体商標の比較:

出典:特許庁「1地域団体商標と地理的表示(GI)の活用Q&A」

GI登録後、農林水産省から「GIマーク」をもらえます。このマークは登録された産品の地理的表示と併せて付すもので、産品の確立した特性と地域との結び付きが見られる真正な地理的表示産品であることを証明するものです。こうしてGI申請によって、その商品が農林省のお墨付きであることを消費者にアピールできます。

要するに、地域団体商標制度は、地域ブランドとして「地域名+商品・サービス名」からなる商標を独占的に使用することができる制度で、地理的表示(GI)制度は、農林水産物等の品質について、国のお墨付きが得られ、国内にもかかわらず海外までも認定される制度です。

しかし、地理的表示(GI)は特許庁ではなく農林省に管轄され、排他的権利を持つ商標権ほどの効力を持ちません。とは言え、地理的表示(GI)の登録も多くのメリットがあり、かつ「地域団体商標」に重ねて「GI」を申請することも可能ですので、より完全な保護を求める方は、ぜひ両制度のメリットを理解する上で、並行して活用してください。

参考資料:
1特許庁「地域団体商標と地理的表示(GI)の活用Q&A」
(https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/chidan/document/faq/t_dantai_syouhyou.pdf)
木村達矢「地理的表示と地域団体商標の相違」パテント74巻3号11頁~14頁(2020年)
(https://system.jpaa.or.jp/patent/viewPdf/3757)
農林水産省「地理的表示及びGIマークの表示について」
(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/gi_mark/)

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